吮疽の仁(せんそのじん)

韓非子

(せん)()(じん)  

意味:部下へのいたわり/有害な優しさ

 呉起(ごき)が魏の将軍となって中山国を攻めたとき、兵士の中に(はれもの)に病む者がいた。呉起(ごき)(みずか)らが(ひざまず)いて、その兵士の(はれもの)(うみ)()った。するとその兵士の母が泣いた。ある人が母に尋ねた。「将軍様があなたの子にあれほどのことをしてくださった。それをなぜ泣くのか。」母は答えて言った。「呉起(ごき)様は、あの子の父の(はれもの)()い、父はその恩のために命がけで戦い死にました。今この子もまた、将軍様のために命がけで戦い死ぬことになるでしょう。私はそれを泣くのです。」

『韓非子 外儲説 右下』

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