衣食足りて礼節を知る
意味:経済的余裕があってはじめて礼儀に気を遣える
※「管鮑の交わり」の続き
管仲は政治を任されて斉の国の宰相となった。国土の小さな斉だが、海辺に位置しているので物資を流通させて財貨をたくわえ、国を富ませて軍を強くし、民衆の好き嫌いにそった政治を行った。
それゆえこう言われている。「人は、米倉がいっぱいになってはじめて礼節を大事にするようになるし、衣食が足りてはじめて栄誉と恥辱を気にかけるようになる。上に立つ者に節度があれば、家族の結びつきは強固になるし、礼・義・廉・恥の四つがゆるめば国が滅亡する。法令を下すときは水が源から流れていくように、民衆の心に受け入れられるものでなければならない。」
ゆえに議論は身近であり行動は簡易であった。民衆の欲するものはその通りにあたえ、民衆の拒否するものはそのとおりに取り去った。その政治のやり方は、よく禍をそのまま福となし、失敗を転じて成功となし、物事の軽重を貴び、均衡に配慮した。
『史記 管晏列伝』
※「与うるの取るたるを知るは政の宝なり」に続く

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