漁夫の利・鷸蚌の争い

漁(ぎょ)夫(ふ)の利(り)・鷸蚌(いつぼう)の争い)

意味：当事者が争い合っている間に第三者が利益を奪う

　趙(ちょう)の国が燕(えん)の国を攻撃しようとしていた。蘇(そ)代(だい)は燕(えん)のために趙(ちょう)の恵(けい)王(おう)に言った。「今日、私がここへ来るとき、易(えき)水(すい)を通ったところ、蚌(はまぐり)が水から出てその身をさらしていました。すると鷸(しぎ)が蚌(はまぐり)の肉をくちばしではさみました。それに対して蚌(はまぐり)は、貝を閉じ鷸(しぎ)のくちばしをはさみました。そのような状態で鷸(しぎ)が言いました。『今日雨が降らず、明日も雨が降らなければ、蚌(はまぐり)は干物になるぞ。』蚌(はまぐり)もまた鷸(しぎ)に言いました。『今日、くちばしが出せず、明日も出せなかったら、死んだ鷸(しぎ)になるぞ。』両者ともはなそうとしません。そこに漁(ぎょ)夫(ふ)（漁師）がやってきて、両方とも捕まえてしまいました。」

　今、趙(ちょう)は燕(えん)を討とうとしています。燕(えん)と趙(ちょう)が長く戦って、人々を疲れさせては、強国の秦(しんが漁(ぎょ)夫(ふ)になるのではないかと私は恐れています。王様はこのことをよく考えるようお願いします。」

　恵(けい)王(おう)は「そのとおりだ。」と言って、燕(えん)を攻撃することをやめた。

『戦国策　燕策』