明主は小事を躬らせず
意味:賢いリーダーは重要でないことを自分でやらない
木を揺らすのに、一つ一つ葉を引っ張っていたのでは、疲れるばかりで全てを揺らすことはできない。木の根本を左右にたたけば、全ての葉が揺れる。淵を見下ろす高さから木を揺らせば、鳥は驚いて高く飛び、魚は恐れて深く潜る。
網を張るのが上手な人は、綱の部分を引く。もし一つ一つ網目を引いてうまく張ろうとすれば、疲れるばかりで困難である。しかし綱の部分を引けば、魚はもう網の中にある。
役人は民の根本であり、綱の部分である。ゆえに聖人は役人を治めて民は治めない。火事を消すとき、役人に壺を持たせて火事場に向かわせれば、一人の働きをするだけであるが、鞭をもって指揮して人々をうながせば、万人を制御できる。こういうわけで、聖人は民と直接関わることはせず、聡明な君主は小事を躬らすることはない。
『韓非子 外儲説 右下』

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