柔よく剛を制す(じゅうよくごうをせいす)

三略

(じゅう)よく(ごう)(せい)
意味:弱そうな者が強そうな者に勝つ


 (じゅう)(ごう)を制し、(じゃく)(きょう)を制する。(じゅう)は徳であり、(ごう)は害である。(じゃく)は人に助けられ、(きょう)は恨みを買って攻撃される。(じゅう)(ごう)(じゃく)(きょう)にはそれぞれ使いどころがある。それらをうまく使い分けることで、状況に応じた最善の判断ができる。
 本当の戦略は、始まりも終わりも見えず、誰にも読めない。天地や神々と調和し、万物の流れに合わせて動く。状況は常に変わるので、敵に応じて柔軟に対応する。あらかじめ決めつけず、動きがあればすぐに対応する。だからこそ、限りない支配を可能にし、天の威光を支えることができる。世界の果てまで安定させ、異民族も静かに治める。こうした知恵を持つ者こそ、帝王の師となるにふさわしい。
 多くの者は強さを求めるが、(かす)かなものを守れる者は少ない。(かす)かなものを守れる者こそ、生き延びることができる。聖人はそれを保ち、状況に応じて使う。広げれば世界中に行き渡り、縮めれば杯にも満たない。住むのに家は要らず、守るのに城も要らない。胸の内にそれを秘めていれば、敵国さえも服従する。
 (じゅう)にも(ごう)にもなれる国はますます輝き、(じゃく)にも(きょう)にもなれる国はますますその力が際立つ。(じゅう)(じゃく)だけの国は衰え、(ごう)(きょう)だけの国は滅びる。

『三略 上略』

コメント

タイトルとURLをコピーしました